フランスで起きていること
まったく投資と関係ないのですが、日々雑感ということで。
ご存知の通り、フランスでは雇用促進を目的とした政策決定が若年層を中心に猛反発を受けています。一部暴徒化した若者が路上の車を焼いたり、公共物を破壊したりして逮捕者、負傷者が多数出ている模様。このニュースは様々なブログでも報じ語られています。
どんな政策かおさらいを。
『企業が26歳未満の若者を雇用した場合、試用期間の2年間は理由を提示することなく解雇できることを認める』
というもの。
この新政策の背景にはフランスの高失業率、とりわけ26歳未満に限って言えば25%近い失業率があります。4人に1人が失業者、これはとんでもない状態です。政府としても国の経済力に関わる大問題でしょう。失業率対策は日本でもとられています。しかし日本の場合は、大まかに言えば、経済の活性化が雇用を促進する、という前提で、労使の関係においてもどちらかといえば労働者側にとって耳ざわりの良い政策がとられてきました。それに特に疑問はありません。ではなぜフランスはこの耳ざわりの悪い政策を打ちだしたのでしょうか。
これより以降は、私の私見、偏見ですので、不愉快に感じられる方がいらっしゃれば即座にブラウザを閉じてください。私の考えを押し付けるものでは決してありません。
どうやらフランスの文化には、市民の自由や権利が、責任や義務よりもフォーカスされて市民意識に染み付いているようです。一度得た権利の永続性が保障されているのかもしれません。一度就職すれば解雇されない、万一解雇されたら訴えれば勝訴する、そして職場に復帰する‥こんな記事をどこかのサイトで見かけました。もしもこれが一般市民感情として根付いているとしたら、フランスは凄い国です。日本で大流行の「自己責任」とは真逆ですね。
・一度就職すれば解雇されない。
から拡大解釈(妄想?)すると、
・一度タクシーに乗りこめば、お金がなくても降ろされない。
・一度入居すれば、家賃を払わなくても退去しなくてよい。
・一度入学すれば、退学にはならない。
・一度付き合えば、自分の都合のよい永遠の恋人。
・一度結婚すれば、相手の都合では離婚されない。
のようなものでしょうか。自己権利を持続させるための自己努力や責任とは無縁の文化?状況の変化は一切無視?まさかこれらは極論ですが、どうも今回のニュースをみていると若年層に偏った自由主義感覚があるように思えて仕方がないのです。
雇用側から見ると、経営状況の変化や労働者本人の資質、適正、環境変化があっても、解雇するにはえらい手間隙がかかるし、あげくに訴えられて負けてしまう。そういうトラブルが若年層との間に多いのでしょう。だから、若者は怖くて雇えない、のかも知れません。
これまで市民権利の保護の上に胡坐をかいてきた、或いはそういう文化の「一面」だけに耳年増な若者がデモを行っているのではないでしょうか。私は「甘えるな」と言いたい。
施政者の心の声を勝手に妄想してみました。
『企業が26歳未満の若者を雇用した場合、
(→ この世代の労働者の雇用契約トラブルが多い。失業率も高い。このままでは国が弱ってしまう、何とか若者を定職に就かせねば。)
試用期間の2年間は
(→ 3ヶ月の試用期間では「猫かぶり」や「3ヶ月坊主」が可能だが、2年は続くまい。)
理由を提示することなく
(→ どうせ説明したところで、解雇されたくないのだから納得するはずもない。あれこれ議論して市民の権利やフランス革命まで遡られたらたまったもんじゃない。)
解雇できることを認める』
(→ 解雇できないから怖くて雇えない。解雇できるならトライ(雇う)する価値は十分ある。)
若者にすれば、小馬鹿にされた気分でしょう。腹もたつというものです。
それは理解したうえで、敢えて私は「甘えるな」と言いたい。ヨーロッパの大国、フランスの誇りある市民、これからの国を支える若者が情けないことをいうな、とも言いたいですね。
『若いうちの恥は買ってでもかけ!』
馬鹿にされてればいいんです。言わせておけばいいんです。軽く扱われてもいいんですよ。だって仕事が欲しいのでしょう?雇う側は事業の運営に必要だから雇うのです。解雇するために雇うのではありません。できればずっと事業者を支える一人になってほしい、誰でもそう願うものです。なぜなら代わりはいくらでもいるとしても、解雇→再雇用にはお金と時間がかかるのです。折角習得してもらった技術も失うかもしれません。人の出入りの激しい会社は、それだけで会社の財産を失っているのです。そんなことを願う経営者はいません。
『2年間の実験雇用だ。いつでも俺の好きなときにクビ切るぞ。いいか?』
いいんです。ありがとうございます、といっておけばいいんですよ。そして首尾よく潜り込んだら、必死に働き、「雇用側」にとっての有用な人材になれば良いんです。技術力でも、営業力でも、接客力でも、なんでもいい。兎に角、辞められたら困ると思われる人材になるために2年間頑張るほうが、結果自分のためになると思います。そして2年後、
『実験雇用は終わりましたね、私はクビですか?』と聞けばいい。
『とんでもない、君には期待しているんだ。』なんて返ってくればしめたもの。
『そうですか、ありがとうございます。それでは依願退職でお願いします。』とやればいい。
どうしてもこの政策に納得がいかないのなら、デモなどやっている暇を使って就職活動を始め、2年後に、国や雇用者に「目にモノを言わせる」ための第1歩を踏み出すべきだと思います。
2年後の若者は、仕事に自信もつき、社会人としての権利と義務の分別もつきはじめ、仕事を辞めるなんて考えはなくなり、おのずと失業率も低下すると思うのです。
フランスの若者にこんなことを言いたいなあ、と思い書きました。
一方、フランスの為政者、オトナたちへの私の思い。
経験の浅い若者に対しては、結論だけを伝えるのではなく、「なぜ」「どうして」「どうやって」を懇々と諭し、若者が頭でシュミレーションできるように、具体的に多くを語り、時間を費やすこともオトナの責任です。奇麗事だけでなく、自分達の老後を支えてくれる、自分達がこの世を去った後の国を支えてくれる大切な人材育成なのですから。
一気に書きました。この手の文章は、見直すとどんどんありきたりな文章になり、主義も主張もなくなるので、誤字脱字もノーチェックでアップします。賛否問わずご意見大歓迎です。