信用買いと現物買い
こんにちは、Xです。
オヤジ様のブログで「現物買い」を勧めておられますが、私も同感です。その理由に違いがあるかもしれませんが、良くわからない方へ向けて私なりに書いておきます。仕手相場を熟知されているかたは、読むまでもないでしょう。
大相場への絶対条件は、需給関係が逼迫することです。それは当然売り枯れを意味し、浮動株の枯れを意味します。金利がかかる借金株は流動性が高い。貸借銘柄が、数円の値幅の中で太郎君から次郎君へ、更に三郎君へ、そしてまた太郎君へ‥とサイクリックに動いている限り大相場は為し得ないのです。
井上ホルダーの方々へ私が伝えたい本質は、「買うな」でもなく「売るな」でもなく「静観」です。欲を言えば借金株の現引きです。どうしても新たに買うなら現物が良いのは、買い残が膨らまないこと。動き出してから取組に厚みが増してくると、更なるアドバルーンとなって資金が集まり上げやすくなる。上手くいけば踏み上げ相場となる。つまり大相場を望むのなら信用買いはさけるべきです。
相場を仕掛ける側が信用買いをするケースもあります。それは、既に何らかの既成勢力があって、支配玉の奪い合いになることが予想される時に、玉集めのスピードを上げるためです。信用で得た玉を使って、ある程度操縦をし、それによって資金が整えば現引き(品受け)します。個人投資家の信用買いとは少し意味合いが違います。
仕手筋の支配玉は固まりつつあります。しかし信用組の投げや、小幅なボックスを狙う空売り、それを信用買いする個人がウロウロしていると買い上がるポイントが定まらない。
誰が幾らでどれだけ持っているか?これをどれだけ正確に推測出来ているかどうかで、仕手相場の勝敗が決まります。例えば95円でスタートしようとして、自らの売り玉を95円においた途端、同じだけの「誰か」の売り玉が95円に並んだらどうするか?買い上がりのコストは2倍になる。自分が食う玉は、自分の玉だけにしたいのです、理想を言えば。余分な買いは償却せねばならず、演出コストが嵩むのです。よって一旦板がカチッとしないと買い上がらないことが多いです。(特に井上のようにバレバレ相場を作る場合は)
支配玉を多く持ち、売りが枯れたところで、狼煙をあげる。自らの玉を自らが食い、同時に巨大な見せの買い板をつくり、高値追いを誘う。需給関係が逼迫しているように「見せつける」のです。彼らは冷静に玉を高値買いにぶつけ、徐々に支配玉を外していきます。
個人投資家は、逆らって得はないです。小型船舶は大波に上手に乗るしかない。彼らの支配玉だけなく、我々の玉も捌かなくてはならない。つまり上下左右に伸びしろを大きくせねば、売るのがやっと、になりかねません。その為にも買い残を必要以上にふくらませてはいけないのです。
私が信用買いを薦めない理由は、信用期日まで相場が来ないからではなく、「動きたくなってしまう」からであり、それがスタートを遅延させ、また、その後の相場規模を小さくしてしまうからです。
それから、安いところを拾うのは大いに結構ですが、買ったものは売って初めて利益であり、売るのにもコストがかかることも留意されたい。一旦相場になれば数万レベルはすぐに捌けますが、高いところで50万100万とお持ちのかたは自らが新たな売買を繰り返し、利食いを入れて損益分岐点を下げていかないとマイナスで終わることもあります。仕手株とはいえ、完全燃焼するとは限らないし、上げ途中で失敗するケースも多いのです。
オヤジ様のブログで「現物買い」を勧めておられますが、私も同感です。その理由に違いがあるかもしれませんが、良くわからない方へ向けて私なりに書いておきます。仕手相場を熟知されているかたは、読むまでもないでしょう。
大相場への絶対条件は、需給関係が逼迫することです。それは当然売り枯れを意味し、浮動株の枯れを意味します。金利がかかる借金株は流動性が高い。貸借銘柄が、数円の値幅の中で太郎君から次郎君へ、更に三郎君へ、そしてまた太郎君へ‥とサイクリックに動いている限り大相場は為し得ないのです。
井上ホルダーの方々へ私が伝えたい本質は、「買うな」でもなく「売るな」でもなく「静観」です。欲を言えば借金株の現引きです。どうしても新たに買うなら現物が良いのは、買い残が膨らまないこと。動き出してから取組に厚みが増してくると、更なるアドバルーンとなって資金が集まり上げやすくなる。上手くいけば踏み上げ相場となる。つまり大相場を望むのなら信用買いはさけるべきです。
相場を仕掛ける側が信用買いをするケースもあります。それは、既に何らかの既成勢力があって、支配玉の奪い合いになることが予想される時に、玉集めのスピードを上げるためです。信用で得た玉を使って、ある程度操縦をし、それによって資金が整えば現引き(品受け)します。個人投資家の信用買いとは少し意味合いが違います。
仕手筋の支配玉は固まりつつあります。しかし信用組の投げや、小幅なボックスを狙う空売り、それを信用買いする個人がウロウロしていると買い上がるポイントが定まらない。
誰が幾らでどれだけ持っているか?これをどれだけ正確に推測出来ているかどうかで、仕手相場の勝敗が決まります。例えば95円でスタートしようとして、自らの売り玉を95円においた途端、同じだけの「誰か」の売り玉が95円に並んだらどうするか?買い上がりのコストは2倍になる。自分が食う玉は、自分の玉だけにしたいのです、理想を言えば。余分な買いは償却せねばならず、演出コストが嵩むのです。よって一旦板がカチッとしないと買い上がらないことが多いです。(特に井上のようにバレバレ相場を作る場合は)
支配玉を多く持ち、売りが枯れたところで、狼煙をあげる。自らの玉を自らが食い、同時に巨大な見せの買い板をつくり、高値追いを誘う。需給関係が逼迫しているように「見せつける」のです。彼らは冷静に玉を高値買いにぶつけ、徐々に支配玉を外していきます。
個人投資家は、逆らって得はないです。小型船舶は大波に上手に乗るしかない。彼らの支配玉だけなく、我々の玉も捌かなくてはならない。つまり上下左右に伸びしろを大きくせねば、売るのがやっと、になりかねません。その為にも買い残を必要以上にふくらませてはいけないのです。
私が信用買いを薦めない理由は、信用期日まで相場が来ないからではなく、「動きたくなってしまう」からであり、それがスタートを遅延させ、また、その後の相場規模を小さくしてしまうからです。
それから、安いところを拾うのは大いに結構ですが、買ったものは売って初めて利益であり、売るのにもコストがかかることも留意されたい。一旦相場になれば数万レベルはすぐに捌けますが、高いところで50万100万とお持ちのかたは自らが新たな売買を繰り返し、利食いを入れて損益分岐点を下げていかないとマイナスで終わることもあります。仕手株とはいえ、完全燃焼するとは限らないし、上げ途中で失敗するケースも多いのです。
24 Comments:
At 4/20/2006 01:54:00 AM, Anonymous さんのコメント…
とても分かりやすかったです。勝手に想像していたのは隙間だらけでしたがずいぶん埋まりました。
昨日の相場の裏側話といい、知っていることは大きなプラスだと思ふ。ありがとうございます。
ところで、
親父さまのところの、レッドX騒動では盛り上がってましたね。私も入りたかったです。
ちゃっかりまめさんは参加しちゃって、うらやましぃ。フットワークの軽さにいつも感心します。(名前間違えるけど。ふふ)
At 4/20/2006 03:19:00 AM, Anonymous さんのコメント…
仕手株相場の解説ありがとうございます。
とてもよくわかりました。
井上はすべて売却しました。
現引きしなかったのは、今利用しているカブコム証券だと井上は代用不可なので、他の証券会社に資金を移動させた上で買い直さないといけないからです。
来週買い直しです。もちろん現物で。
追伸
井上の3年分のグラフがようやく完成。
At 4/20/2006 08:48:00 AM, Anonymous さんのコメント…
おはようございます。解かり易く解説していただいて有難うございました。<(_ _)>
At 4/20/2006 04:38:00 PM, Anonymous さんのコメント…
井上の大相場が始まるまでに
もう少し仕手株について勉強しなくては・・
レッドXは、前から気になってたんだよね?
それと、Xさんの名前をクリックすると
このブログジャンプするのも不思議です
どう設定しても他のブログに飛べないんだよねー
もう一つ疑問、"X"でHNが獲れたこと
これが一番不思議
その辺にレッドXの謎が隠されてると思ってます
At 4/20/2006 09:27:00 PM, Anonymous さんのコメント…
皆様、赤ペケで盛り上がってますね。井上さんがマグマを溜めている中、大平洋は噴火しっぱなしですね。当分噴火は続きますかね?けれど、この噴火より数倍凄そうなモノが地底深くで蠢いているような、そんな情報が作さんやXさんから・・・。ウラ側の一端に関わってる(?)ような気持ちだけでもちょっと嬉しい自分はまだまだ素人投資人。ちなみに宮城谷さんの歴史小説が大好きです。
At 4/20/2006 11:54:00 PM, Anonymous さんのコメント…
Xさん、皆さん、こんばんは。
なんと凄い仕手株解説、ありがとうございました。釧路の霧さんにも感謝です。
「一円さげたら千株買い…」のご投稿を読んで以来、釧路の霧さんのファンです、わたし。
さて、日本ファーネス工業さんに、「證券新報の出資比率引き上げの記事は本当ですか?本当ならなぜHPに載せないのですか?」とメールで問い合わせたところ、先程返事が来ました。カープさんとF掲示板で話しあった事柄なのですが、カープさんがF掲示板からいなくなっちゃったので、こちらで紹介します。カープさん、見てますよね。
あらら、張り付けようとしたら文字制限でダメだから、分割します。
At 4/21/2006 12:11:00 AM, Anonymous さんのコメント…
以下が先程来た返信メールです。
==========
拝啓、陽春の頃ますますご清祥のことお喜び申し上げます。
さてご質問に関しましては当社は現在、9.6%の株式を所有しており、また、子会社のNFKファイナンスが運営する事業投資組合で潜在株式(新株予約権)として24%所有しております。
行使価格104円と、現在の株価とは乖離しておりますが井上工業の業績回復に伴い、株価の上昇があれば、当然行使を行い33%を所有する結果となります。
また、双方で技術を補完しながら新規ビジネスを考えていることも事実です。
新聞記事の33%を目指すとありますが、潜在株式を含めれば、現時点(平成17年12月末現在)で26%は所有しており、大量保有報告書も提出しております。
このような前提からの記事と推察しており、HPへの掲載は会社として本業のファーネス事業拡大に全力を注いでおり、正式に井上工業との新規事業展開が合意されれば記載致します。
今後共、ご支援の程お願い申し上げます。
==========
「売りたくてしょうがない」ということはなさそうですね。
At 4/21/2006 02:05:00 AM, Anonymous さんのコメント…
レッドX騒動に完全に乗り遅れてしまったけがりめです。ととはいさんまで参加しちゃって。うーん残念。
まめさん 「X」ってところからも相場日記に飛ぶんですね。知りませんでした。不思議だわ。あとぜったい皆さんレッド×を押してみてると思う。
釧路さんだっ。ご無沙汰してます。
火曜日っからブログの内容が濃いぃですね。すごいわぁ。山奥さんも積極的な動き。やはり株主としての意識も持たんといかんのだな。
作さん 親父さまのところ見たんですけどね、大人の会話なんだけど、なんだか青々して、そよそよしてて、いいっすね。うんうん。
ってね、誉めたところで、三年もの完成ですかぁ。かぁーっ、場帖だけでもちょろっとファックスを・・・、いやいやいかーんっ自分で調べて書くことに意味があるのですよね あぁ先が長い。
missさん 簡単デリバチブもう読んだのでしょうか。私は少し間をあけて読み返しスタートするつもりです。(ついつい、まんがのページだけ読んでしまいます)
At 4/21/2006 03:22:00 AM, Anonymous さんのコメント…
>釧路の霧さん
お久しぶりです。
3年前の日本鋳造ですか。少し調べてみます。
井上は待たせた分のお返し、期待しています!!
>山奥さん
証券新報の記事ですが、素朴な疑問があります。
「井上に対する出資比率を早急に33%を目指す」というのは、いつ、誰が言ったことなのでしょうか?
記事を読みますと、この部分の主語が見当たらないのです。
日本ファーネスの武田常務は「早急に営業利益率5%、経常利益率3%、純利益率2%を最低でも目指したい」と言ったようですが、その先の部分はこの記事を書いた記者の感想のように思えるのですが・・・
-----------------------------------
日本ファーネス クリーン銘柄に大変身 業績回復で復配、連続増配
2006年04月13日(木) 16時05分
日本ファーネス<6494>がダーティイメージから、クリーン銘柄に大変身。
目下、集計中の前3月期(連結・6カ月決算)の売上高は期初予想の12億円から、(ユニバーサルハウジング連結化で)最終的には70億円、営業利益4億円、純利益1億1000万円になる模様で、年1円復配。さらに今3月期はユニバーサルハウジングの通期寄与で売上高150億円、営業利益8億円、経常利益4億円、純利益2億500万円、配当は1円増の2円。来3月期は売上高200億円、営業利益11億円、純利益6億5000万円、純利益10億円で連続増配の方針。
なお、同社武田常務は「早急に営業利益率5%、経常利益率3%、純利益率2%を最低でも目指したい」という。また、井上工業(現在出資比率9.6%で潜在株式を含めると26%。早急に33%目指す)の分がオンされれば目標を大幅に上回ることになる。
さらに、連結会社の?ユニバーサルハウジング、?ユビキタスネット(東京電力系のベンチャー)、?デジタルアクト(キャピタルゲイン約4億円)を近々に上場予定。また、鳥インフルエンザによる死鳥を安全に処理するトリモエダスを開発、養鶏場から引き合いが来ているようだ。大手機関投資家への第三者割当ても検討中にある。
At 4/21/2006 10:36:00 AM, Anonymous さんのコメント…
証券新報が大げさだったと言うことです。
また、内容にやたらと個人的には、個人的には・・・と書いてますよ。
あくまでも会社の公式的な回答ではありませんと言い訳にもとれる内容ではないでしょうか?
決定事項でもないのに株主総会では決定したかのような提携話もしております。
新報では早急に・・・と流してます。
HPにのせないのであれば、決定してないことなら媒体や総会でのリップサービスはやめて頂きたいですね。
>*現在、潜在株式を26%所有しており、すべてを行使すれば26%となっておりますが、
>行使価格が現状の株価と乖離しており、早急に行使す る事はありません。
>小職が記者に話した事は、井上工業の連結を考えずに現状の連結対象の会社と、
>現在進めているファーネス事業でのアライアンスによる連結売上高は2008年3月期で200億とは言ってあります。
> 井上の取扱に関しては、双方で新規事業の話し合いは続けており、
>業績も回復基調となっているので、連結対象に加えても良いとの
>ニュアンスで話しました結果の記事です。
>
>*当社は、現在本業のファーネス事業拡大に全力を注いでおり、
>井上工業の株式の所有比率を早急に大幅に増加させる考えはありません。
>ただ、井上工業からの依頼があれば、株価との関係がありますが、
>一部行使を行っても良いと考えております。
>*その際はあくまでも個人的には、行使するのではなく、
>現状の株価よりディスカウントした第三者割り当てにしてもらった方が将来的には良いと思っております。
>(個人的な意見であり、当社の将来を考えた、キャピタルゲインをも視野に入れてですが)
>
> 武田 芳夫
At 4/21/2006 08:17:00 PM, Anonymous さんのコメント…
〉作戦計画さん
誰の発言かといえば、證券新報の間違い記事でしょう。
だって、12月末時点の潜在株を含めて26%所有という古い情報で「早急に33%を目指す」って書いてるわけですから。事実は現在、潜在株を含めて既に33.6%を所有しちゃっているわけです。33%を目指すもなにも…
ファーネスにとって井上工業は、企業再生ビジネスの第一号企業だし、当分の間は安定株主として井上を支えるのでしょう。
ちょっと妄想を。
MはFが51%を集めることを阻止する白馬の騎士か? なんちって…
At 4/22/2006 03:02:00 AM, Anonymous さんのコメント…
>山奥さん
「早急に33%を目指す」っていうのは「株の保有割合」ではなくて、「出資比率」のことですけど・・・
At 4/22/2006 08:07:00 AM, Anonymous さんのコメント…
え?
作さん。解説していただきたいけど、他の方に迷惑でしょうから自分で勉強します。 σ(^_^;)?
At 4/22/2006 10:53:00 AM, Anonymous さんのコメント…
三年前の日本鋳造の相場の様子を、わたしもy掲示板で読ませていただきました(鋳造の掲示板のメッセージ番号605から)。
オヤジ様にとってやっかいな相場だったとのことですが、いやいやオヤジ様は終始自信にあふれていて、めちゃくちゃカッコ良かったです。「あっと驚く為五郎!」とか意外やオチャメだったりして…面白かったです。
確かにいまの井上とそっくりですね。買残多くて上がるわけないとの嘲笑に「買残?少ないくらいだ」とか、いたるところ参考になります。
しかし、オヤジ様が先生と呼ぶ「ライオン」っていったいどんな方なんでしょう? 世の中すごい人は一人しかいないわけじゃないんですねー。
At 4/22/2006 03:03:00 PM, Anonymous さんのコメント…
>山奥さん
私の勘違いだったようです。ごめんなさい。
-----------------------------------
日頃、新聞、雑誌、TV等で見かける財務用語の中でも、自動車業界にも関係が
深いものを取り上げ、わかりやすく説明を行っていくコラムです。
第 27 回の今回は、出資比率についてです。
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最近 1 ヶ月の間に自動車業界では様々な資本提携・解消などが行われている。
そこでは何%の株式を取得・もしくは売却したと報道されている。今回はその
出資比率と議決権比率について解説したい。
通常、この出資比率は発行済み株式総数を分母とし、取得もしくは売却した
株式を分子として計算される。発行済株式総数とはその会社が発行している株
式の合計を言い、企業が発表している場合、普通株式も優先株式も含まれるこ
とが多い。会社は株式を発行できる枠を設けており、これに対して発行できる
枠の内、発行済の株式という意味で発行済株式総数と言うのである。
但し、普通株式だけを発行している会社の場合は、出資比率が議決権比率と
同率になるのだが、優先株式などの種類株式が含まれている場合は種類株式の
権利は様々な設計が可能となっているので出資比率と議決権比率が同率となら
ない場合があり、注意が必要だ。議決権比率とは、株主としての権利を行使で
きる割合を意味しており、通常株主総会での経営の重要事項を決める場合には
議決権を行使する割合で決議されるため、経営に影響を及ぼす意味では重要な
比率である。
企業はこの議決権比率を何%取得するかで、その会社へ経営上のガバナンス
と会計上の影響の双方の観点からの関与度合いが変わるのである。議決権を取
得する時には大きくわけて5つの区切りがある。20 %以上、33.33 %超、50
%超、66.66 %超、100 %である。
1.20%以上
(1)経営上のガバナンス
20 %を保有する場合には、商法上特別な権利が20%以上の株主にある
わけではない。但し、筆頭株主になるかどうかという意味では経営上の
ガバナンスに影響を及ぼすこととなる。筆頭株主となれば他の株主をリ
ードし、経営方針を自社のしたい方向に誘導することができる。
(2)会計上の影響
20 %以上の議決権比率を持つと連結決算上は関連会社となり、その出
資した会社の損益が連結決算上加算されることになる(例外もある)。
この為、20 %以上を持つとグループ企業と呼ばれることにもなり、損
益も加算される為、経営上のグリップを握る必要があり、取締役なども
派遣されることが多い。
自動車業界で昨今 20 %以上の出資は、ポルシェが VW に 20 %の出資をし
ている。ポルシェはおそらく VW の損益を連結決算上加算することにもなる為、
これから大規模なリストラを必要とすると言われているVWの損益を加算してし
まうことを恐れ、投資家はポルシェの株式を売却し、株価が下がるなどの影響
が出た。
一方、20 %未満の出資比率にはどのような意味があるのだろうか。段階的
な提携を行う場合や、企業間のお付き合いによる出資を行う場合が挙げられる。
トヨタが富士重の発行済み株式総数の 8.7%を取得したケースで20%取得で
きたのにも係らず、20 %未満に抑えたことが様々な憶測を呼んでいるのは、
グループ企業とできるにも係らず、出資比率を抑えたことによるものだ。GM
とのお付き合いによるもの、公正取引委員会との協議をした上で段階的な提携
を行うのか、という議論はこのような背景によるものである。
2.33.33%超
(1)経営上のガバナンス
33 %以上を持つと経営上の拒否権を得ると言われている。これは、特
に経営上重要な事を決定する場合には株主総会の特別決議が必要とされ
ている。株主総会の特別決議は 2 / 3 以上の議決権が必要とされるの
で、1/3以上を持っていれば、経営上重要な事項に対して拒否すること
ができるため、このように言われるのである。
(2)会計上の影響
20%以上50%以下はその会社を損益だけを一行(持分法投資損益)で認
識するだけである為、33.33%超にしたことによる影響は無い。より多
くの損益が加算されるだけである。
3.50 %超
(1)経営上のガバナンス
会社の議決権の過半数を取得することになる為、通常の株主総会の決議
事項を自社の方針に沿った形で決議することが可能になる。取締役の就
任などの会社の経営者の人事権をもつことになる為、過半数を保有して
いる会社から代表取締役社長が派遣されるケースが多い。
(2)会計上の影響
連結決算上も子会社として損益だけではなく資産負債も全額合算し、損
益は少数株主の持分だけを少数株主損益として除外する形で認識される
のである。連結決算上は過半数を持った時点で親会社と一体化すると言
えるだろう。
最近ではトヨタが第三者割当増資によってパナソニックEVエナジーへの出資
比率を40%から 60 %に引き上げ子会社としている。ハイブリッド車の重要部
品である電池を製造する同社を子会社化し、より関係を強化したのだ。つまり
トヨタ自動車としてはパナソニックグループの経営方針ではなく、トヨタの経
営方針に沿った技術開発を行う会社になったと言えるのである。
4.66.66%超
(1)経営上のガバナンス
上記 2 と逆の状況で、特別決議を自社の方針に沿って進めることがで
きる比率であり、ほぼ全ての事項で自社の経営方針に沿った決定を行う
ことができる。
(2)会計上の影響
会計上は 66.66 %に影響されず、子会社として認識されるだけである。
5.100 %
(1)経営上のガバナンス
完全子会社化と言われる。他の株主がいない状況であるのだから自社の
一部門とも言える比率である。合併を前提として資本提携などを行う場
合、一旦 100 %にしておいて企業文化やシステムの融合などを図る時
間を作る場合に一旦 100 %とする場合がある。
(2)会計上の影響
子会社として損益も資産負債も全額合算される。また税務上は、100 %
とすることで連結納税が可能となり、税務上も一体化が認められている。
このように議決権を何%取得するか、ということはその企業の株式を何で取
得するか、という戦略と一体化しているのである。その企業の何が欲しくて株
式を取得するのか、技術・設備・人・販路様々であろう。そのリソースを親会
社となる自社としてどのように活用したいのか、ガバナンスをどのように効か
すことが自社にとって一番効果的なのかを考える必要がある。そのガバナンス
の効かせた結果として会計に反映される資産や利益がそのグループとしての新
たな価値創出に繋がるのだ。
つまり、ガバナンスを効かせる立場の株主もしくはその株主から派遣される
経営者が自社の戦略を明確に理解し、ガバナンスとその結果から生まれる価値
を最大限得られることを目指す必要があるのだ。
但し、ガバナンスという言葉は使われる側からは嫌な言葉である。イコールパ
ートナーとしての経営者としての立場を貫きながら株主としての側面を活かす
ことがこのような立場の経営者には求められているのではないだろうか。
At 4/22/2006 03:11:00 PM, Anonymous さんのコメント…
あと、ぜひ教えて欲しいことがあります。
・日本ファーネス工業は井上の株式を9.6%所有している。
・子会社のNFKファイナンスは潜在株式(新株予約権)として24%所有している。
↑これはどこで確認できるのでしょうか?
EDINETを調べても、NFKファイナンスが12.09%(株式250万株と新株予約権1600万株)を持っている分しか見つからないのです。
ぜひお願いします。
At 4/22/2006 05:47:00 PM, Anonymous さんのコメント…
〉作戦計画さん
う〜ん、大量保有報告書の特別ルールで説明するのも無理がありそうだし。わたしにも分かりません。ごめんなさい。
これがF掲示板だったら「そんなことも知らんのか。頭悪いね」とか言いながら親切(?)に教えてくれる人が出てくるのでしようね (笑)。
At 4/24/2006 03:44:00 AM, Anonymous さんのコメント…
証券新報の例の記事ですが・・・削除されたかも・・・
私のはY掲示板の投稿をコピペしたものなので、念のため「証券新報」本体の記事を調べたところ・・・どこにもないのです。。。
チェックしたのは「無料コンテンツ」コーナーだけで、有料の方は見てませんけど(こっちにあったりして)
配信された日時がわかっているので、見落としはないと思うのですが・・・
私の探し方がヘタなのかな?
それから、日本ファーネスとNFKファイナンスの持株比率ですが・・・もしかして計算式を間違えたとか、、、
そんな気がします。気がするだけですけど。
At 4/24/2006 11:45:00 PM, xtakaphi さんのコメント…
ブログ故障してます‥。全然更新出来ません。
ちなみにシステム君、今日はシグナル無し。明日4/25は、
<1号>
買い
1枚
LC -60
<2号>
買い
1枚
LC -200
です。今日の暴落で、もしも売りシグナルが出ていれば、大儲けになりましたね。タラレバですが(^-^)
井上は、また下げました。まあ今日に限っては井上個体の責任ではない思いますが。前向きに捉えれば信用返済売りがいやおうなしに進んでいく、ということですね。神の手による振るい落としでしょうか。
作さん>
井上、現物での買い直しはしましたか?今日は絶好の買い日和でしたね。
それから、証券新報の件ですが、私も探しましたがありませんね。やはり削除されたか、有料コンテンツなのでしょうね。Googleのキャッシュ検索でもY掲示板のNo.26418しか出てきませんでした。
At 4/24/2006 11:50:00 PM, xtakaphi さんのコメント…
‥見つからない、といった途端に見つけました。というかファーネス板にアドレスありました。
http://www.syokenshimpo.co.jp/
todaysnews/news/
heso.html?boardno=711
です。
At 4/25/2006 12:42:00 AM, Anonymous さんのコメント…
こんばんは。
今日の日経の暴落にはビックリです。LD&マネックスショックの時より下げるとは・・・
>xさん
おかげで安く買い直せましたが・・・複雑な心境です・・・
証券新報、ありがとうございます。
おかげで確認できました。
そしてこの件についてですが、やはり武田氏と証券新報は計算式を間違えている可能性が濃厚です。
以下は私の仮説です。
いくらなんでも自分たちの保有株数は把握していると思いますので、間違えるとしたら%の方でしょう。そこで電卓を叩きまくって計算をしてみました。
新株予約権1600万株 / 保有比率24% = 発行株数(?)6666万6666株
井上工業の増資前の発行株数が 6537万株 (四季報参照)
かなり近い数字ですので、これで保有比率を出してみます。
1600万 / 6537万 = 24.48%
続いて新株予約権1600万株に普通株式250万株を加えた分の比率を出してみます。
1850万 / 6537万 = 28.30%
カープさんと山奥さんのメールでは26%ですので
6537万 × 26% = 1699万6200
その差は約150万。売ったのかな?
大量保有報告書は1%以上の増減は提出しないといけないはずなので、井上の発行株数1億3707万6000株を考えますと、
130万
くらいかな? 計算。
(1850万 ? 130万) / 6537万 = 26.31%
話のつじつまはあいますね。
みなさんはどう思われます?
追伸
残りの気になる数字をさらに電卓で叩いていたら・・・また闇をのぞき見してしまいました。。。
At 4/25/2006 01:05:00 AM, Anonymous さんのコメント…
追伸 その2
玉帖も作成しました。
これで相場師の三種の神器がいちおうそろったことになります。
さて、使いこなせるのか???
At 4/25/2006 01:58:00 AM, Anonymous さんのコメント…
やや、ブログ故障ですか
トップばかり更新してました。中入ってコメント増えてることを知りました。早く直りますように。
こんな日は、何を書いたら良いのやら
書くことないなら書かなければ良いのですが
明日は、買うか売るか(いーくんではないですよん) 場帖を睨みつけても決めきれない まだまだだす
しっかしB4ファイルって邪魔だなぁ と、八つ当たりしてみたり ではおやすみなさい
At 4/25/2006 09:18:00 PM, Anonymous さんのコメント…
冷かしっぺのけがりめさーん、
井上工業のチャートを見ると、買って、買ってと叫んでるみたい。現物で買えるなら、今日のは欲しかったな(〃_ _)σ?イジイジ・・・
しかし、じっと我慢の子でした。
皆さんの解説のお陰で、チャートの読み方が、従来の単純なテクニカルだけではなく、別の見方ができるようになりつつあります。
そんな簡単なことではないだけに、今回の事は大いに意義ある一歩を踏み込めたようで、嬉しい・・・感謝いたします。
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