X-BLOG

The most certain way to succeed is always to try just one more time. --Thomas Edison

2006-06-02

トレンド分析

おはようございます、Xです。

このブログには少なからずトレンドフォローを意識しているかたが多いでしょう。新井邦宏氏のファンもいるでしょう。今日はこのトレンド分析について私なりの解釈・手法を紹介します。

株であれ株価指数であれ、トレンドというものは存在します。多くのテクニカル指標もトレンドを何とか数値化できないかと先人達が生み出したものです。

トレンドに逆らわずに売買をしていくのが、一般的には良いと言われています。逆張りが投資スタイルの方も多いでしょうが(私もそうですが)大きなリターンを求めるためリスクも大きいと言わざるを得ません。

まだ株式投資を始めて間もないかたは特にトレンドフォロー(順張り)を強くお奨めします。前述の新井邦宏氏の著書をまずは読むと良いでしょう。


<下記は新井氏の提唱する手法ではなく私個人のトレンド分析です>

株価は何で動くのか、それは企業の業績だったり、政治だったり、戦争だったり、天災だったり、誰かの発言だったり。しかしそれらが直接株価を動かすわけではなく、動かすのはそれらを見聞きした人間の心です。そしてチャートには人間の心理状態がきちんと正確に記録されていきます。

私のトレンド分析は、その視点でチャートを眺めることにしています。そして最も重要なのが、「迷い」と「バイアス」です。

「迷い」とは、確信が持てないこと。株価が上下どちらへ向かっていくのか予想が困難な状態です。当然不安になります。ロングポジションだけど下げたらどうしよう、ショートだけど上げたらどうしよう。人間の心理として「持つことのリスク」が高まります。となれば一旦手放すわけで、個人の心理が群集心理となり下降トレンドを形成することになります。

「バイアス」とは、歪みや偏りのことです。人間の心理に歪みや偏りが生じ、合理的判断を導けない状態を「バイアスがかかる」等と言ったりします。急騰している株価を慌てて買い、高値掴みをしてしまうのは「多数派同調バイアス」です。塩漬け株をメチャメチャ塩からくしてしまうのは、自分の判断とは反対方向へ動いている現実こそが誤りで、自分は正しい、いつかそれが株価上昇として証明されると信じ込む「正常性バイアス」の為せる技です。私が得意なポジショントークもその一種(笑)

簡単なトレンド分析は、「迷い」や「バイアス」に囚われている、要は精神的に揺さぶられている時は、下降或いは膠着。そうでないときは上昇トレンドと言えそうです。プロが行う仕掛け的な売りや買いは、投資家心理を揺さぶり、それに乗じて利を得る手法と言えます。

ではそれらの状態をチャートから簡単に読み取る方法を紹介します。


1.「迷い」

ロウソク足の高値と安値の幅を見ましょう。ロウソク足だとヒゲがあったり色が付いているので、バーチャートのほうがわかりやすいかも知れません。この高安値幅が大きい日が続いている状態は、迷いが生じている状態です。更にわかりやすい方法はエクセルに日足の高安値幅を記録していき、ある数値以上のものには色を付けます。ここ1、2年では200円位を閾値にすると良いみたいです。去年の5月くらいからはミニバブルといわれた上げ相場でしたが、10月頃まで、高安値幅が200円を超えた日はほんの数日です。上昇トレンドにおいては、実は1日の値幅は小さく推移しているのです。それが11月12月には、非常に値幅の大きな日が密集するようになり現在に至っています。(5月は典型的な下降トレンドですが、高安値幅200円以上がほぼ毎日でした。)日々の値幅を色づけして、俯瞰することにより、分布(密集と閑散)が明らかになり、トレンドが発生している、或いは、発生していない、ということが分かるのです。

なぜ「迷い」があると値幅が大きくなるのでしょうか。人間は迷いがあると、右に行ったり左に行ったり、フラフラしますね。真っ直ぐ立って、体を左右に揺らしてみてください。揺れ始めはゆっくりでも、倒れそうになる直前に、一瞬スピードが付きませんか?勿論これは人間の重心のズレに依るものですが、株価の動きにも例えることができます。投資家の迷いは、上下の振れ幅を広げます。そして振れ幅が一定以上になると瞬間加速して一層幅を大きくします。これによって高安値幅が大きくなるのです。

加速の原因は株価の場合、「バイアス」です。


2.「バイアス」

実は「迷い」と「バイアス」は多くの場合、セットです。傾きの加速の原因は「正常性バイアス」「多数派同調バイアス」だと私は考えています。「迷い」相場の場合、ロング、ショートがドテンを含め流動的に分布、そして時に偏り、また流動します。例えばロングの場合、株価が一定以上下げれば買い下がってナンピンしたり、売り上がったり(正常性)。また株価がその日の高値或いは安値をつけることによって「みんなそうなんだ」と思いこみ同じ行動をとる(多数派同調)。
これらの現象は下降トレンドに多く見られます。

「迷い」は高安値幅の閾値越えの分布で容易に判別出来ました。では「迷い」に「バイアス」が追い打ちをかけている状態はどう確認するのか。それは、「出来高」で確認します。
例えば日経225先物の場合。去年のミニバブルと言われた上げ相場で、出来高10万枚を超えた日がどれだけあったでしょうか?順調に右肩上がりの時期には殆ど10万枚を超えていません。市場は活況だ、というイメージとは裏腹に数万枚で、かつ小幅に上げていくのです。そして去年の10月あたりから出来高が10万枚超えの日がぽつぽつ出てきます。それは徐々に頻度をあげてゆき、5月には11日連続10万枚超えを記録しています。

こうして「みんながそうだと思った頃」、ミニバブルとやらは終焉あるいは転換を迎えているのでしょう。多数派同調バイアスです。


高安値幅と出来高だけで、トレンド分析。いかがでしたか?

トレンド分析には様々な手法がありますが、今日紹介したものは、私の経験からなる勝手な推論とも言えます。全ての相場において当てはまるわけではありませんのでご了承ください。

2 Comments:

  • At 6/02/2006 10:55:00 PM, Anonymous Anonymous さんのコメント…

    親父さんのところで何度かお会いしたhopeです。Xさんのチャート分析は大変勉強になりました。チャートの振幅と厚みで市場の心理を読み取るわけですね。確かに昨年11月中旬以降からローソク足の幅が広がって出来高も高いレベルで推移しています。ついでに信用の買残もどんどん膨らんでいっています。LDショックはきっかけであって、大きな調整の種はそれ以前に育っていたわけですね。
     ありがとうございました。

     
  • At 6/06/2006 02:58:00 AM, Blogger xtakaphi さんのコメント…

    hopeさん>
    お久し振りです!コメントありがとうございます。本当は分析なんていうほどのものでもないんですけどね。毎日毎日数字やチャートを眺めていると、何となく刷り込まれていくものがあります。だからといって完璧に相場に対処できるわけではないので、まだまだ未熟者です。相場に絶対的な解は存在しませんが、相場と付き合っている限りは、それを追い求めてしまうのでしょうね。
    またコメントお待ちしています。

     

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